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喜多村百合 著


『インドの発展とジェンダー』
――女性NGOによる開発のパラダイム変換


A5版220頁

定価:本体2700円+税

発売日 04.03.31

ISBN 4-7885-0893-1

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◆インドの女性エンパワーメントの姿◆

インドでは、階級制度による制約が未だに強く、下層階級は貧困にあえいでいます。さらに、家庭内では多くの女性が夫に代わって家計を支えているにもかかわらず、宗教上の制約から女性が差別を受けています。本書は、このような厳しい条件のなかで開発対象を女性に絞って活発に活動しているインドの代表的な開発NGO・自営女性協会をとりあげ、その活動の実際に即して、これまで二重の差別に苦しんできた女性が自分の労働を可視化し、みずからのアイデンティティを再構築して主体として立ち上がり、自身をエンパワーしていく姿を描き出します。著者は、筑紫女学園大学助教授(人類学)。

◆書評
2004年11月、Smile 11月号 vol252

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◆目 次◆
はじめに
第1章 視点と方法
第1節 人類学と「開発」/第2節 理論的枠組/第3節 調査方法
第2章 国際開発とジェンダー
第1節 開発パラダイムとジェンダー/第2節 「ジェンダーと開発」の理論的絵枠組み
第3章 SEWA−インッドの開発さんがム運動
第1節 インドの開発言説と女性/第2節 SEWAの成立/第3節 組織の理念・構造とサンガム運動/第4節 運動の拡大とネットワーキング/第5節 組織のさらなる拡大と課題
第4章 語られるサンガム運動
第1節 都市部会員/第2節 農村部会員/第3節 中間層出身オーガナイザーの語り
第5章 アイデンティティ形成とエージェンシー
第1節 主体化を支える複数のアイデンティティ/第2節 NGOの教育的役割/第3節 組織拡大と会員の葛藤
終章 主体構築型開発としてのサンガム運動
参考資料/用語解説/あとがき
参考文献/索引


◆本文紹介◆
インドの都市を歩くと、紅茶売りや露店の野菜売りなど、さまざまな小商いで生計をたてるおびただしい数の人びとを目にする。また路地に一歩足を踏み入れると、住まいをそのまま「生業の場」として長時間働く、多くの家内職人がいる。農村では、畑で農作業をしたり、家屋敷地内の菜園や畜舎で忙しく立ち働く人びとがいる。このように黙々と働く人びとの間に、少なからずサリー姿の女性たちが見出される。そして彼女たちは、その労働で家族を養う、家計支持者である場合が少なくない。
 こういった女性たちを含めた、いわゆるインフォーマル・セクターに働く労働者は、経済統計では把握されにくいために、開発政策の対象からこぼれ落ちてきた。とくに、女性労働者たちは、「家庭の主婦」とみなされ、たとえ生産労働をしていても政策策定の場からは「見えにくい労働」であった。また働くじょせいたちも、暮らしを成り立たせる生産労働と家事を区別せず、自分自身を「労働者」と規定することはなかった。したがって、その労働を含めた暮らしは、開発政策や労働保護政策とは無縁の、生存ぎりぎりのところでほそぼそと行われてきた。
 このように「見えにくい労働」を担ってきた女性たちが作る組織が、今、インドの開発現場で力をつけて注目されている。また、見えにくいがために不十分であった開発政策に提言の声をあげている。そして、その声は国際レベルにおける、労働者保護政策にまで届こうとしている。この本は、そのように力をつけ、声をあげてきたインドの多くの女性組織の一つである自営女性協会「SEWA」の開発民族誌である。(「はじめに」より)
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