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加藤春恵子 著


『福祉市民社会を創る』
――コミュニケーションからコミュニティへ


四六判400頁

定価:本体3600円+税

発売日 04.03.10

ISBN 4-7885-0890-7

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◆ロンドンのフィールドワークから◆
スウェーデン型福祉国家の夢財政難で行きづまり、アメリカ型自助社会の理念は強い者だけが生き残る格差社会をもたらす。弱者の生きやすい社会をどう創る? 本書は、モデルとなるコミュニティをロンドンのある地域に見出し、そのしくみを住民の日常生活に密着して詳細に描きあげたものです。市民が多様なNPOを組織し、行政に全面依存することなく高齢者や移民など弱者にやさしいコミュニティを創りあげてきた地域。それを可能にした条件は何か、著者は社会の網目を生き生きと流れるコミュニケーションと市民資金の仕組みの力に注目し、そこから貴重なヒントとアイデアを汲み上げました。あるべき社会の未来を真剣に考える人々におくる一冊。

◆著者略歴
東京大学大学院社会学研究科修士課程修了。社会学修士。同大学新聞研究所(=社会情報研究所)助手、桃山学院大学、関西学院大学助教授・教授を経て1988年より東京女子大学現代文化学部コミュニケーション学科教授。2008年定年退職。日本社会学会、日本マスコミュニケーション学会、日本NPO学会、日本女性学会会員、女のホットライン相談スタッフ、女子学、ジェンダー論の視点を生かし、メディアリテラシーやフィールドワークを通じて、現代社会のコミュニケーションに関する、さまざまな現象の解読を進めている。

◆書評
2004年5月25日、ウィメンズ・ブックス New13号

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◆目 次◆
はじめに
T問題意識とキーワード
1福祉市民社会/2市民社会・コミュニケーション・コミュニティ/3市民資金とコミュニティ・ワーク/4フィールドワークとエスノメソドロジー
Uノースケンジントンの歴史と現在
1移住者の町/2ノッティンングヒルとノースケンジントン/3転機となった人種差別暴動/4NPOを主軸とする住宅の改善/5生活環境の改善/6市民活動の軌跡
Vノースケンジントンの福祉市民社会
1ノースケンジントンの全体像/2カーニバルとモスクのある異文化交流空間/3シンボルタワーの下の福祉空間/4ハウジング・トラストが開く福祉市民社会/5コミュニティ・デベロップメント・トラストが開く福祉市民社会/6町並みの中の福祉市民社会
Wノースケンジントンに見るコミュニケーションと公共圏
1相談/2情報/3対話/4情報と対話の渦巻く公共圏
Xオープン・エイジ・プロジェクトに見る福祉市民社会
1オープン・エイジ・プロジェクト(OPA)とは何か/2OAPの活動内容/3OAPの活動から見えてくるもの
Y福祉市民社会を創る人々
1「不幸」からの出発/2多文化共生社会の力/3難民たちの経験/4コミュニティ・ワークの世界/5育ち続ける個人と社会
Z「経済成長」から「社会成長」へ
1成長する個人と社会/2日英比較から見えてくるもの/3桃太郎幻想を超えて
参考文献


◆本文紹介◆
アメリカ型の自助救済社会は、営利セクターや民間非営利セクターの比重を高くし、公的セクターの比重を低くしてきたが、その不平等性が顕在化している。「日本型福祉社会」は、これまでインフォーマル・セクターの女性の無償労働に依存してきたが、その非人権性が明らかになっている。今、私たちに残された選択肢は、市民社会と福祉国家の発達を前提にして、市民の権利意識と自発的なパワーにより支えられる社会を築くことだといってよいだろう。ここでは、このような社会を「福祉市民社会」と呼ぶことにする。  もう少し説明すると、福祉市民社会とは次のような社会である。市民の要求によって国家・自治体が福祉国家を目指して取り組み、行政による福祉サービスがある程度まで普遍的に行われる状態に達した段階で、その骨格を維持しながら、税・社会保障負担が無制限に膨張したり官僚制によって弊害が生じるのを防ぐために、市民が、NPO(非営利市民組織)のワーカー(職員)あるいはボランティアとして有給‐無給で働いてサービスを活性化させ、公的セクターと非営利セクターとを組み合わせることによって、福祉サービスを維持・発展させていく社会である。(「T問題意識とキーワード」)より
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