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ジョン・オルコック 著/長谷川眞理子 訳


『社会生物学の勝利』
――批判者たちはどこで誤ったか


四六判424頁

定価:本体3800円+税

発売日 04.1.15

ISBN 4-7885-0882-6

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◆社会生物学をめぐる誤解と真実◆

E・O・ウィルソンが『社会生物学』を出版し以来、社会生物学は幾多の批 判を浴び、激しい論争にさらされることになります。主な批判としては、モ ンシロチョウやヒキガエルの行動や本性について何を明らかにしてもいいが、 人間の本性を動物と同じ手法で研究するのは間違いであり、社会生物学は人 種差別や性差別を合理化しているというものでした。本書は、その非難と論 争の歴史を丹念に描きながら、批判の多くが的はずれな誤解にもとづくもの であったことを明らかにし、社会生物学のめざましい研究成果を次々と私た ちに見せてくれます。科学という営みとは何かについて深い思索へと誘う本 です。訳者は日本の代表的進化生物学者。早稲田大学教授。


◆本文一部◆
適応論的アプローチがどれほど多くの成果を生み出してきたかは、それを人間に適用する段になると批判する多くの人々によって、意図的にかそうでなくか、無視されてきた。しかし、人間の行動その他の性質が、進化的視点で分析することはできないというには、実に奇妙な立場を受け入れなければならない。すなわち、動物界では、なぜか私たち人間だけが、進化の歴史からの独立を勝ち取り、私たちの遺伝子は、何か不確定の理由によって、人間の心理の発達に影響を及ぼさなくなり、人間の脳が学習で獲得した情報を取り入れる能力は、過去の進化とは関係がなく、過去における脳の機能の変異は、人々の遺伝的成功に何の影響も及ぼさなかった、などなど、セーシェルヨシキリやシロビタイハチクイにあてはめたらとうてい認められないような、数々のお題目を信じなくてはいけない。私たち自身についてのこんな仮定をついにすべて捨て去る日がきたら、そのときこそが真に、社会生物学と人間に関するその他の研究分野にとって、勝利の日であろう。そのときには、すべての研究者たちが、すべての動物の社会行動の研究に、進化理論を強力な指針として使うことができるだろう。私たち自身について、本当に理解したいと望んでいる人々にとっては、、その日が一刻も早くきてほしいものである。(「10章 社会生物学の勝利」より)

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◆目 次◆

第1章 社会生物学とは何だ?
社会生物学を定義する/より精密な定義づけを/ウィルソン以前の社会生物学/それでは、この騒ぎはなんなのだ?

第2章 社会生物学者が研究すること
行動の目的は何だろう/擬人主義について/進化生物学者はみな同じではない/進化で生じた形質は、種の保存に役に立つはと限らない/解くに価する適応問題をどうやって見つけるか

第3章 社会生物学と遺伝子
遺伝決定論の神話/遺伝子との行動のつながり/「社会行動を決める遺伝子なんて発見されていない」

第4章 社会生物学と科学
科学者がしていること/適応論的アプローチに対する反論/誹謗中傷の技術/社会生物学の仮説を検証する方法/批判者のコーナー−「誤った比較」という議論

第5章 科学と現実
文化相対主義と飛行機/科学と政治

第6章 社会生物学者は何を発見したか
遺伝子を数える意義/遺伝子を数えることと偏った利他行動/遺伝子を数えることと性行動/雄と雌の間の遺伝的葛藤/親と子/セーシェルヨシキリの社会生物学

第7章 文化決定論の困ったところ
生物学嫌い/何も書かれていない石版という理論の弱点/何も書かれていない石版と美人/何も書かれていない石版と大量殺戮

第8章 社会生物学と人間の文化
自然淘汰と行動の可塑性の進化/昆虫が示す、特定の行動における可塑性/学習の進化/鳴禽類のさえずり学習における適応的デザイン/人間の学習機構の適応的デザイン/淘汰と顔の記憶/学習、文化変化、そして遺伝的成功/社会生物学と一見して非適応的な行動/人口転換

第9章 社会生物学の実際的応用
社会にとって危険か?/「自然」なことは「道徳的」なことではない/汝自身を知れ?/人間の家族と義理家族における。協力と葛藤/社会生物学の実践/男性と女性

第10章 社会生物学の勝利
批判者たちよりも生き延びる/依然として続く論争のコスト

補遺

訳者あとがき/文献/索引など


原題:THE TRIUMPH OF SOCIOBIOLOGY by John Alcock

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