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杉山幸子 著


『新宗教とアイデンティティ』
――回心と癒しの宗教社会心理学


A5判224頁

定価:本体3500円+税

発売日 04.02.05

ISBN 4-7885-0881-8


◆人はなぜ宗教に惹かれるのか◆

科学技術の時代ですが、いまも伝統的な宗教、そして新宗教が、老若を問わず 強く人々をひきつけ続けています。人はなぜ宗教に惹かれるのでしょうか。ど のような過程をへて入信し、宗教的なアイデンティティを発達させていくので しょうか。本書はこのような疑問に導かれた心理学者が、新宗教の現場をフィ ールドワークし、信者たちの声に耳を傾け、丹念な調査を行った記録です。ま た、東西の宗教心理学の研究を吟味した成果のうえに立って、新たな宗教社会 心理学の枠組みを提示する試みともなっています。著者は岩手大学非常勤講師。

◆本文一部◆ 実は新宗教においては、入信ごの自己変革の欲求が形作られるいう構図が見られる。入会の段階では病気などの具体的な問題からの救いを求めていたり、特に求めるものもなく家族や友人の誘いで入会する人も多いが、そうした人々も、メンバーになると、単に問題解決を求めるだけでなく、自分自身を変えようとすることが期待される。つまり、自己変革は内なる欲求であると同時に、集団によって課される課題なのである。  とはいえ、入信する人が皆自分の求める自己像について、はっきりとしたビジョンを持っているとは限らない。むしろ自分のどんなところを変えなくてはならないのかは、教えに接してから徐々に気づかされることが多いようだ。言い換えると、その教団の教えに沿ってニーズが形作られるのである。このことは、信者の人たちに入信の経緯について尋ねるとはっきりと分かる。というのも、判で押したように同じ「求め」をしばしば耳にするからである。その内容は教団によって異なっており、たとえば「清い人間になりたい」だったり「明るくなりたい」だったりする。また、身体に関しても、入信前は健康だと思っていたのに、教えを学んでから潜在的な病に気づかされ、身体的な改善の欲求が形成されることが多い。(「5章 宗教と癒し」より)

◆書評
2002年12月号 「日本語」 秋田喜代美氏評

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◆目 次◆
1章 心理学と宗教
2つの宗教心理学/宗教への心理学的アプローチ
2章 宗教心理学の歴史T
宗教心理学の盛衰/その後の宗教心理学
3章 宗教心理学の歴史U
近・現代の宗教事情/明治・大正期/昭和初期/戦後から現在まで/結び
4章 回心の心理学
回心研究の流れ/初期宗教心理学/新宗教運動の社会学・社会心理学/日本の回心研究
5章 宗教と癒し
宗教と医学/伝統的な宗教における癒し/新宗教における癒し/癒しとアイデンティティ
6章 信仰の現場
概要/お浄めの場
7章 宗教的社会化とアイデンティティ
回心・宗教的社会化・生涯発達/入信状況/事例による検討/宗教性の多元化/宗教社会化と発達
8章 民俗宗教と宗教性
日本人の宗教性/日本におけるモルモン教/モルモン教への入信/民俗宗教とモルモン教のダイナミクス
あとがき
文献/人名索引/事項索引

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