戻る

ピーター・ブルックス 著/高田茂樹 訳


肉体作品
――近代の語りにおける欲望の対象


A5判472頁

定価:本体5300円+税

発売日 03.12.05

ISBN 4-7885-0878-8

◆amazon.co.jpへ
cover

◆紀伊國屋書店Books Web へ

◆〈肉体〉はいかに発明されたか◆

私たちはヌードといえば女性の身体を考えがちですが、美術史に登場するのは男性よりも遅くて、むしろ近代になってからだそうです。それでは、現代のような欲望喚起機関といってもいい肉体はどのようにしてつくられたのでしょうか。本書は、近代になって肉体(特に女性の)がどのように表象されてきたかを、ルソーやバルザック、ゾラの小説、またクールベやゴーギャンなどの絵のなかに具体的に探り、物語と肉体と欲望の関係を明らかにして、近代という時代の輪郭を描こうとします。多数の図版も理解を助け、愉しませてくれます。

◆著者の本
『メロドラマ的想像力』四方田犬彦ほか訳、産業図書刊
ISBN:4-7828-0139-4、2002.1


◆書評
2004年2月8日、日本経済新聞、山田登世子氏評 2004年2月15日、朝日新聞、池上俊一氏評 2004年3月1日、新潮、中条省平氏評

Loading

◆目 次◆
まえがき
第一章 語りと肉体
第二章 プライヴァシーの侵害−小説における肉体
ルソーの私的な肉体/プライヴァシーと法と肉体
第三章 近代的肉体を徴づける−フランス革命とバルザック
革命的肉体/バルザックの肉体の徴
第四章 視界のなかの肉体
エマ・ボヴァリーの肉体/窃視症、認識欲、肉体/肉体の語りを探る/アルベルチーヌを見る
第五章 ナナは最後まで脱いだか−近代の裸体の問題
ナナを裸にする/肉体の目録をつくる
第六章 ゴーギャンのタヒチ的肉体
第七章 怪物とは何か−『フランケンシュタイン』によると
第八章 話す肉体、もろい器
ヒステリー症の肉体/ドラの症状/これらのもろい器
第九章 逸脱する肉体
眺める『愛人』を眺める/肉体と『視覚的に捉えられるものへの熱狂』
原注/訳注/訳者あとがき/索引/図版一覧


◆本文一部◆
 たとえば、『タヒチの二人の女 』を考えてみよう。この絵は、官能的な美しさを湛えて観る者に正面から向かい合うべく、陽光のなかに現れ出てくる、中央の人物の豊で力強い肉体を呈示するその仕方において、ほとんど古典的な平静さを達成している。彼女の顔は無表情で、私たちの視線を無理に惹くこともなければ拒むこともない。肉体そのものが力強さと安らぎに満ちている。盆に載せて供される、種類の特定できない花か果物は、供される肉体の簡明な換喩となっている。私たちはこの絵を、男性の眼差しが個性を消された女性をその性的対象としているもう一つの例として、あっさり断罪することもできる。しかし、私たちはまた、この絵を、見ることについての――肉体に向けられた眼差しに喜びを感じるようにと招く、積極的で罪の意識とは無縁な勧誘についての――絵として、感動的で説得力があると感じることもできよう。『彼女たちの黄金の肉体の輝きときたら』という題の絵は、ゴーギャンがオセアニアのなかに探し求めたものをこれ以上ないほど簡潔なかたちで要約している。(「ゴーギャンのタヒチ的肉体」より)

designed & constructed by bizknowledge