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辻成史 編著/武田恒夫・安倍安人・松谷武判 著


『伝統 ――その発明と変容』


A5判200頁

定価:本体2800円+税

発売日 03.10.15

ISBN 4-7885-0875-3





◆日本文化の「伝統」はいかに発明されたか?◆

日本文化を論じるとき、必ず出てくるのが、その「伝統」あるいは「伝統的側面」です。しかし、この言葉が使われるようになったのは、昭和十年代、戦時中のいわゆる「日本主義」台頭以降のことにすぎないのです。それでは、なぜこの概念が日本文化を象徴するものとして使われるようになったのでしょうか。近代化とどのような関係にあるのでしょうか。本書は、「伝統」概念の成立と変容の過程を、主に近現代日本の美術史のなかにたどったもので、現役の創作家とのいきいきとした対談のなかで、その驚くべき「発明」の過程が明らかになります。口絵を含む図版多数収録。


◆本文一部◆ 今日「伝統」の概念は、文化を論じる際にはほとんど不可欠な概念として、否定的・肯定的立場のいずれを問わず頻用されている。とくにわが国日本の文化を論じる際には、日本人のみならず他国論者からも、日本文化の「伝統的」側面がかならずといってよいほど問題とされる。
 しかし、日本の文化一般を論じる際に、その「伝統」あるいは「伝統的側面」がとくに問題とされるようになったのはそう古くからのことではない。とりわけ「伝統」という言葉が今日のように、日本の「国の伝統」、あるいは「民族の伝統」という意味で使われるようになったのは、実に一九三〇年代前半になってからで、いわゆる日本主義の台頭と期を一にしている。…中略…
 本書は、日本文化に関して今日いわれているような「伝統」概念がいかにして成立してきたか、またそれが第二次対戦前・戦中・戦後、そして二十世紀の最終局面にさしかかった今日に至るまで、日本においてどのように運用されてきたかを、「日本美術における伝統」に焦点を絞りつつ論証し、その劇的な変容の跡をたどろうとする試みである。

◆書評
2004年1月4日、朝日新聞 栗田亘氏評
2004年2月1日、炎芸術 no.77

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◆目 次◆

はじめに
第一部 伝統―その記憶
桃山美術の成立/聖から俗へ/黄金と黒/織部焼の謎/慶長から元和に/宗達芸術の完成/寛永期の問題
第二部 伝統―その転生
桃山陶芸の復活・その一/桃山陶芸の復活・その二/桃山陶芸の復活・その三
INTERLUDE 二つの講演
川端康成/松谷武判氏をめぐって
伝統―その現在
「物質/もの」の誕生/「伝統のやきもの」とオブジェ/「もの」とエロティシズム/「もの」とタブロー/伝統の現在
あとがき
参考文献


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