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田村 毅 著


『インターネット・セラピーへの招待』
――心理療法の新しい世界


四六判264頁

定価:本体2200円+税

発売日 03.02.25

ISBN 4-7885-0841-9

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◆インターネット・セラピーの可能性
インターネットには、ネット依存、ネット中毒、仮想世界にはまって現実世界に戻れなくなる、という危惧もあります。しかし、インターネットと心をつなぐ関係はそんなマイナス面ばかりではありません。たとえば、ネットでセラピーを受けることができれば、誰にも知られずに一人でセラピーを受けることができます。セラピストと面と向かい合わないからこそ語りの自由度が増します。手紙やファックスと違い、やりとりが迅速です。本書では、著者の豊富な経験と実際例にもとづいて、そのような利点のほか、疑問点、倫理基準、利用の際のチェック項目などにも言及しながら、インターネットでのセラピーの可能性を考えます。著者は、東京学芸大学助教授。精神科医。

◆著作:
『子どもの精神障害』(日本評論社、2002、共著)
『カウンセリングの方法とライフサイクル』(現代キリスト教カウンセリング
 第2巻)(日本基督教団出版局、2002、共著)
『メールカウンセリング』(現代のエスプリ、No.418、至文堂、2002、共著)
『ナラティヴ・セラピーの世界』(日本評論社、2003、共著)

◆著者略歴:
筑波大学大学院医学研究科博士課程終了。ロンドン大学バークベック・カレッジ修士課程(家族療法専攻)終了。現在、東京学芸大学教育学部助教授、北の丸クリニック精神科医師(青年期精神医学、家族療法)。

◆書評
2003年3月16日、東京新聞
2003年7月、児童心理 no.789

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まえがき

第1章 インターネット・セラピーの世界
■ つながる心
■ インターネット・セラピーの現状
■ 私のインターネットセラピーの形態
■ メーリングリストによる個人セラピー
■ 電子メールによる個人セラピー
■ インターネット・セラピーに向かない例
■ インターネット・セラピーの可能性
コラム@インターネット・セラピーのサイト

第2章 インターネットの利点
■ 簡便性
■ 匿名性とプライバシー
■ 日常生活との乖離
■ 自己開示の容易さ
■ 社会的弱者への福音
■ 書くことのメリット
コラムAゲイ社会のウェブサイト

第3章 人間とインターネットの不適切な関係
■ ネット不安
■ ネット依存
■ 依存の心理
コラムB海外渡航とインターネット

第4章 メディアを用いたコミュニケーションの特徴
■ 電話
■ 郵便
■ ファックス
■ パソコン
■ 電子メール
■ チャット
■ メーリングリスト(ML)
■ メディア・コミュニケーションと対人関係
コラムCいのちの電話
コラムDアウトライン・プロセッサ

第5章 インターネット・セラピーの特徴
■ 書きことばであること
■ キーボードで表現すること
■ 孤独であるということ
■ インターネットの治療関係
■ なぜネットではたやすく深層が語られてしまうのか

第6章 人間とインターネットの新たな関係性
■ モダニズムにおける治療
■ ポストモダンのセラピー
■ ナラティブ・セラピー
■ セラピーは仮想世界である
■ 電子メールで「語る」こと
コラムEおたくと引きこもり
コラムF学校という現実
コラムG家族機能の喪失

第7章 インターネット・セラピーへの疑問
■ 仮想世界の癒しが現実への適応の橋渡しとなるか
■ 面接なしの治療
■ 診断できない
■ 「医療」と定義できるか
■ 心理学モデルと医学モデル
■ 面接と併用する場合

第8章 実際的なガイドライン
■ 倫理規定
■ インフォームド・コンセント
■ サイトの概要
■ セラピストの専門性
■ 正確な情報提供
■ 秘密保持
■ 利用者のチェック項目
コラムHトラブルのときの相談機関

あとがき


◆<まえがき>より◆
 はたして、インターネットを使って、セラピー(心理療法)を行えるのでしょうか。
 私の二〇年間の臨床経験と、五年間のインターネット・セラピーの経験から、限界はあるもののそれは十分に可能だし、通常の面接法では得られない良さも見出すことができました。…(中略)…
 本書で扱うインターネット・セラピーは、電子メールのやりとりによるものに限定しています。電子メールによるセラピーは、相手の姿が見えず、書きことばのみの交流という点で従来と大きく異なります。そのため、セラピーを受けるという敷居を低くする効果を生みます。また、セラピストに対して遠慮せず、語りの自由度が高くなります。セラピストと面と向かう緊張から解放され、ふだんは言えないことも表現できます。セラピーとは、言わばセラピストの支援を受けながら自己を語りなおしてゆく作業です。相手に自分の身体をさらさず、匿名で語ることで、新たな自分を発見できます。


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