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ポール・W・イーワルド 著/池本孝哉、高井憲治 訳


『病原体進化論』
――人間はコントロールできるか


四六判482頁

定価:本体4500円+税

発売日 02.11.20.

ISBN 4-7885-0827-3

目次
第1章 なぜこの本を?
伝統との訣別/進化疫学とダーウィン医学/なぜ病気の進化を研究するのか
第2章 対症療法
進化における症状の機能/防御的症状と発熱/防御に対する治療/操られ症状とコレラ/操られと防御の同時作用/非感染症の症状/帰無仮説―副作用としての症状
第3章 媒介動物、垂直感染、病原性の進化
動物媒介性寄生者の病原性/媒介動物への感染/動物媒介性感染症の防除
第4章 媒介動物によらない悪性化メカニズム
媒介動物の代わりに捕食者を利用する/媒介動物の代わりに宿主の発育ステージを利用する/致死的な寄生と宿主の操られ/媒介動物の代わりに被感染性宿主の移動性を利用する
第5章 水か蚊のように移動するとき
水媒介性伝播と病原性/地理的パターン/コレラの起源/水媒介性伝播、研究、公衆衛生政策
第6章 付添人媒介性伝播
文化的ベクターとしての付添人/病院における付添人媒介性細菌/付添人媒介伝播と抗生物質/院内感染性病原体の進化的道筋を考える/院外での付添人媒介性伝播
第7章 戦争と病原性
生物兵器は慎重に使っても的を外す/病原体は思いがけない進化をする
第8章 エイズ
どこから来たのか/性交渉相手の取り換えと病原性の進化/エイズの将来/エイズの病害とHIVの進化
第9章 エイズとの戦い
抗ウイルス薬/エイズに対する他の戦略
第10章 過去を振り返って
病原体としての内部寄生者/超生物的スケール
第11章 …そして将来を一瞥
新興病原体/進化の道具としてのワクチン/進化疫学とダーウィン医学の出現
あとがき

◆殺人ウィルスはなぜ生まれるのか◆

人々を震撼させる、新たな殺人ウィルスの出現。医療が進歩すればするほど 凶悪なウィルスが生まれる!? そのいっぽうで、人間にやさしくなる病原体 もあるのは、なぜなのでしょうか。この疑問に、今、注目のダーウィン医学 の立場から見事な回答を示したのが本書です。病原体は、悪性にも良性にも 進化すること、そこにはどのような条件が働いているかを、示したのです。 医療や動植物の流行病対策に関わる人々ばかりでなく、広く一般の読者に向 けて書かれた本書は、感染症とその病原体について理解するためだけではな く、感染症への社会的な方策を考える上でも示唆に富んでいます。

◆内容紹介◆ ウイルス、リケッチア、細菌、寄生虫など人の病原寄生者は、進化的適応の原理から考えて、病原性を次第に減少させ、穏やかな共生関係を結ぶ方向に向かうという常識がある。宿主である病人を殺してしまっては、病原寄生者自身も死んでしまうからだ。本書の著者であるイーワルドは、痛むお腹をさすりながら、下痢の症状は病原寄生者が他の宿主に移っていく手段ではないかと考えた。「どんな形の伝播が激烈な寄生者に有利で、どんな形が温和な寄生者に有利だろうか」、彼はそう自問したという。ついに彼はこういう仮説にたどり着いた。もし寄生者が、次の宿主に乗り移るのに蚊などの媒介動物を利用できるなら、たとえ宿主を殺すことになろうとも、寄生者はどんどん増殖して病気を重くするに違いない。一方、媒介動物を利用できない寄生者は、現在寄生している宿主には活発に動いてもらわないと新しい宿主にたどり着けないから、温和な性質をもつことが有利にはたらく。(訳者あとがきより)
原題:EVOLUTION OF INFECTIOUS DIESEAESE , 1994


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