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マイケル・コール著、天野 清訳


文化心理学
――ヴィゴツキー理論を越えて


四六判630頁

定価:本体5500円+税

発売日 02.08.10

ISBN 4-7885-0817-6

目次
序論
第1章 今に続く問題と論争
そもそもの始まり/社会文化的進化論/原始人と子ども/生物学的反復仮説/学問的論争 /文化はいずこへ?
第2章 比較文化的研究
社会歴史的文脈/知覚課程と文化/知能と文化/記憶と文化/記憶と文化に関する現代の 研究/標準的比較文化的アプローチを評価する
第3章 認知発達,文化,学校教育
リベリアの新数学プロジェクト/日常の問題解決と学校教育‐ユカタン半島における三段 論法/ピアジェ学派のアプローチ/認知スタイル/まとめると
第4章 比較文化心理学から第二の心理学へ
二つの心理学を再考する/文化心理学の未来像/文化‐歴史的アプローチ/基礎的な図式
第5章 文化を心理学の中心に置く
人工物/人工物媒介行為の特殊な構造/さらに包括的な分析の必要性
第6章 系統発生的発達と文化歴史学
系統発生的前兆/類人猿と人間/時間的な順序性/系統発生と文化的歴史の共進化/文化 的な歴史歴史的水準‐異質性と階層
第7章 個体発生的発達への文化的アプローチ
新生児,周囲の人々と出会う/過去,現在,未来/最初の体面的な出会いにおける予弁法/発 達の「もっとも身近に直接的に経験する環境」としてのルーチン日常活動/間主観性と協同的媒介 活動/モジュール性と文脈/自然的路線と文化的路線が互いに織り合わされていることに ついて再考する
第8章 文脈の中の行動の認知的分析
生態学的妥当性の問題/地域的実践をモデル化する‐ヴァイ族の読み書き能力/就学前児 童の会話/テスト,学校,クラブ/生態学妥当性を再考する/中間的評価‐活動における認 知的分析
第9章 活動システムのモデルをつくりだす
異なる場面での同じ課題/読みの指導への治療的アプローチ
第10章 文化心理学のための多水準的方法論
なぜ持続性の問題に焦点を合わせるのか/研究の道具としての活動システムモデル/「第 5次元」の基礎的構造/「第5次元」の社会的組織/「第5次元」を理論化する/文化的 システムとしての「第5次元」/「第5次元」の比較文化的研究/対面的相互作用におけ る変化/持続性について言えること/持続性について、とりあえずの教訓
第11章 文脈のなかで研究する
[問題1]に関して/[問題2]に関して/文化と文脈再考/いくつかの未解決の対立点/メタ ファーの道具箱/人類進化の説明を再構成する/文化,歴史,個体発生的発達/方法論の問 題/実践‐方法論的要素を統合する/ルリアのロマン主義科学/研究の媒体としての「第 5次元」

◆歴史と文化を生きる人間の心理学◆

心理学は「科学であること」を目指して、実験的な手法を重んじてきましたが、そこには大きな落とし穴がありました。心理学者も人類学者たちのように異文化に出かけ、精巧な実験的手続きを使って、「原始的な」人々は、さまざまな能力が西欧人より劣っている、あるいは、「自然に」住まう彼らは視力や聴力が優れていると報告しました。しかし著者は、そもそも心理学の方法そのものが西欧文化に深く染まっていて、こうした結果は正しくないことに気付きます。そして彼は、心理学を心理‐歴史的に捉えたソビエトのヴィゴツキーの理論を発展させて、人間を能動的な行為者かつ歴史的・文化的な存在としてとらえる新しい心理学を開拓しました。本書はその精華を余すところなく述べた重要な書で、これからの心理学の方向を示すものとしても注目を集めています。訳者は、中央大学文学部教授。



◆本文一部◆
〔研究の道具としての活動システムモデル〕
「分業的質問法による読みの指導」は、私たちの仕事の半分にすぎないことを指摘したフィールド大学での記述を思い出していただきたい。他の半分は「第五次元(The Fifth Dimension)と呼ばれている特別に構成されたコンピュータを媒介にした活動である。フィールド大学の研究の過程で、この「第五次元」は子ども、学生、研究者に、長期間にわたって強力な相互作用をおこなわせる力をもつ柔軟な活動であることがわかった。私たちは、望むほど長時間それに専念することができなかったが、何セッションかをビデオテープにとり、後の分析にとって多くの理論的に興味のある教授/学習上の出来事を把えられることがわかった。


◆書評
2002年10月中旬号 「出版ニュース」

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