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森岡正芳著


物語としての面接
――ミメーシスと自己の変容


四六判296頁

定価:本体2900円+税

発売日 02.04.10

ISBN 4-7885-0798-6

目次

序文

序章 経験と等価なことばを求めて
第1節 経験と等価となることばを探したい
はじめに/1変化と課程の記述/2自己語りが科学となるだろうか
第2節 出来事の再現と表象化
1出来事を語るということ/2時間の固定化・空間化/3心的現実の論理
第3節 臨床面接法・聴取法の特性
1言語活動における同時性の次元/2保護された自由な空間の保証/3一次課程を聞く耳/ 4経験についての内的照合/5筋立てて聞く/6臨床的聴取における問題
第4節 ミメーシス概念の導入
1アリストテレス『詩学』におけるミメーシス/2ミメーシス概念の深化/3ミメーシスと 臨床聴取場面

第1章 面接の場における身体
第1節 遊び,そして体験の変形
1遊び/2遊びと心的表象の形成/3遊ぶことのミメーシス
第2節 場面感覚をミメーシスするトーヌス
1面接の場での緊張の変化/2トーヌスの概念/3自己感の構成とトーヌス
第3節 場面感覚をミメーシスする「声」
1発話を支えるトーヌス/2発話におけるイントネーション/3他者のことばとの緊張関係

第2章 なぞるということ
第1節 「なぞる」という方法
1感覚経験の多面的な照合活動/2学校教育場面での関係育成/3「なぞる」ということ/4 発話と引用の効果
第2節 非人称性の視点
1「クライエント中心」の意味/2クライエントによって経験されたカウンセリング/3カ ウンセラーの「非人称性」という特徴について/4セラピストの態度としての三条件と「非 人称性」
第3節 負の受容力について
1ビオンとキーツ/2「負の受容力」と心理援助者の態度/3自己の真実への接近

第3章 夢として聴く(方法)
第1節 夢の仕事から見た聴取課程
1聴取における意味の構成/2夢による変形課程/3「お話療法」
第2節 物語による統合的形象化
1症状の物語/2構成的聴取

第4章 物語と自己の構成
第1節 物語自己の導入
1方法としての物語/2物語としての自己概念/3物語的接近法の有効性
第2節 語りなおしによる自己の受容
1物語と臨床場面/2聴覚統合による出来事の変形

◆心理カウンセリングの面接がなぜ有効なのか?◆

心理カウンセリングを求めてやってくる人々は、ことばにできないような体験、出来事をかかえています。カウンセラーは、彼らに向き合いながら、ポツ、ポツと語られることば、身体の動き、表情……に反応し、ことばを返していきます。そういう共同の作業から、新しい理解のしかた、物語が生まれ、自己が変革されてゆくのです。とかく事例の報告と名人芸的な解釈に終始しがちな心理臨床の理論の不在が言われるなか、ミメーシス(なぞること、まねること)という概念を手がかりに筋道だって考察した本書は、カウンセラーや患者の方々が、自身の経験を深く掘り下げる案内ともなるでしょう。著者は、奈良女子大学文学部教授。


◆本文紹介◆
出来事の配列が個人の主題を浮き上がらせ、人間の真実に邂逅できるような「意味の行為」(acts of meaning)として物語が行われることが前提である。おそらく物語の真実性の保証は物語の内容に内在するのではなく、対話の現場関係性とプロセスのなかで確認されるものある。そこで生きられた生と物語られた生が照合され、新しい意味が生じるのだろう。…中略… 物語による自己の構成は、他にもまして「他者」のもつ多元的な機能に依拠する部分が大きい。聞き手である他者は観客であり、助演者であり、また物語自己のもう一つのバージョンの語り手を担う、積極的な存在でなければならないだろう。

◆書評
2002年6月上旬号 「出版ニュース」

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