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佐藤郁哉 著

フィールドワークの技法
――問いを育てる、仮説をきたえる


A5判400頁

定価:本体2900円+税

発売日 02.02.22

ISBN 4-7885-0788-9

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◆研究者・記者・ライター必携のフィールドワーク入門
 フィールドワークには言わく言いがたいコツがあって、マニュアル化などできない、と言われます。しかし本書は、著者自身の調査体験を自ら吟味しながら述べるという、「フィールドワークのフィールドワーク」とも言えるユニークなスタイルによって、この難問に見事応えました。二十数年に及ぶ研究と、初心者が抱く疑問を知り尽くした教育経験豊かな著者にして初めて書くことができた、究極の入門書です。フィールドに赴く前に、調査の最中に、そして研究をレポートにまとめるときに、繰り返し読み直し、新たなアドバイスを発見できる、フィールドワーカー必携の書となるでしょう。小社のベストセラー、佐藤郁哉著『ワードマップ フィールドワーク』の続編として、また佐藤他訳『方法としてのフィールドノート』の姉妹編。

フィールドワークの技法 目次

◆小社関連書
『ワードマップ フィールドワーク』
(佐藤郁哉著)

『暴走族のエスノグラフィー』(佐藤郁哉著)
『方法としてのフィールドノート』
(佐藤郁哉共訳)

◆書評
2002年3月下旬号、出版ニュース
2002年4月12日、週刊読書人、好井裕明氏評
2003年4月号、地理

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フィールドワークの技法 目次
目次
用語解説
はじめに
謝  辞
第T部 方法篇
第1章 暴走族から現代演劇へ――体験としてのフィールドワーク

対象(者)との出会い
  矯正施設における聞きとり調査/暴走族についての民族誌的調査/現代演劇のフィールドワーク
方法・技法の模索
  「黒い報告書」から民族誌的リサーチへ/リサーチツールの開発
語り口の変化
  混成ジャンルとしての民族誌/語り口と読者のタイプ/フィールドワーカーのスタンス
結論

第2章 他者との出会いと別れ――人間関係としてのフィールドワーク
アクセス
 少年院――フォーマルな組織の場合
 ツテをたどる/調査報告書のイメージ/フィールドワーカーの邪魔者性/交際範囲を拡げる/問題関心の推移と施設調査の限界
 暴走族・右京連合――自然発生的な集団の場合
 セイコとの出会い/初期のアクセスにおける失敗/エイジとの出会い/制度的関係とネットワーク的関係
 まとめ
役割関係
 インフォーマントとラポール
  自己紹介と印象のマネジメント/友人としてのインフォーマント/師匠としてのインフォーマント/
参与観察
 役割関係のタイプ
異人性とストレス
 第三の視点
 人間関係とストレス
  オーバーラポールの問題/フィールド日記の効用
結論

第3章 「正しい答え」と「適切な問い」――問題構造化作業としてのフィールドワーク
問題解決から問題発見へ
暴走族――比較的順調に問題の構造化が進んだケース
 少年院調査での思いつき(初発の問題関心)/ジャーナリスティックな本の功罪/リサーチクェスチョンの明確化/先行研究の検討と文献リストの効用/現場でリサーチクェスチョンを組み立てる/民族誌執筆と最終的な問題設定
現代演劇――大幅な「仕切直し」があったケース
 敗因分析レポート/時間的余裕/仕切直し――問題設定の変更/初戦における敗退とリターンマッチ/調査対象に関する事前知識――現場についての土地勘/理論と研究課題のマッチング
データと仮説の二面性
データの二面性
 問題発見のための材料/フィールドワークにおける問題構造化/サーベイにおける問題構造化/仮説の二つの意味/広義の仮説と狭義の仮説/フィールドワークにおける仮説検証法的アプローチ/問題設定と仮説についての問い/
フィールドワークにおける問いと答えの対応
結論
第U部 技法篇
第4章 フィールドノートをつける――「物書きモード」と複眼的視点

フィールドノーツとは何か?
 フィールド@ノート@とフィールド@ノーツ@
RASHOMON
 『羅生門』課題/学生のフィールドノーツ/佐藤のフィールドノーツ/未来の自分は他人
現場メモをとる
 いつどこで書くか――現場メモと役割関係
  目ざわりな現場メモ/警戒的反応への対応
 何についてどのように書くか――現場メモと「物書きモード」
  清書の意味とメモをとる状況/視覚的記憶と聴覚的記憶/物書きモード
フィールドノーツを清書する
 いつどこで書くか――忘却とのたたかい
 何についてどのように書くか
  「フィールドワーク初日」のパニック/日付と時間――出来事と観察行為の基本的な文脈/フィールドノーツのストーリー性/フィールドノーツのストーリー性と民族誌の文脈性/ふたたび物書きモード――現場調査におけるさまざまなテクストと読者
結論

第5章 聞きとりをする――「面接」と「問わず語り」のあいだ
問わず語りに耳を傾ける――インフォーマル・インタビュー

 暴走族取材における失敗――「面接」と「インタビュー」のあいだ
   面接とネクタイ/面接とインタビューの効率性/インタビューと現場観察/
 ウィリアム・ホワイトの失敗――「インタビュー」と「問わず語り」のあいだ
   ホワイトの「失言」と方向転換/問わず語りの効用
 インフォーマル・インタビューとは何か?
   聞きとりのタイプと問題の構造化/インフォーマルな聞きとりと役割関係
 インフォーマル・インタビューの記録法と注意点
   フィールドノーツによる記録/直接話法と間接話法/信頼関係への配慮
あらたまって話を聞かせてもらう――フォーマル・インタビュー
 下調べをして質問の内容を確定する
   無神経な質問/下調べと仮説――「構造化されたインタビュー」の意味
    劇団取材の例(1)――下調べ/劇団取材の例(2)――インタビューひな型/
 アポイントメントをとる
 聞きとりをする
   服装・時間/聞き手の人数/質問リストと関連資料/テープレコーダ
 聞きとりの内容を記録する
   インタビュー記録の種類/テープ起こしと電子小道具/インタビュー記録の整理法
結論

第6章 民族誌を書く――漸次構造化法のすすめ
理論とデータの「分離エラー」

 「最後のハッタリ」
 分離エラーの原因
 問いと答えのチグハグな関係
  問いと答えの対応/民族誌作成作業の位置づけ
漸次構造化法と「分厚い記述」
 漸次構造化法的アプローチ
 分厚い記述とトライアンギュレーション
  フィールドワーカーの挙証責任/漸次構造化法とトライアンギュレーション
 さまざまな書き物の集大成としての民族誌
調査データの分析(1)――わきゼリフ、注釈、同時進行的覚え書き
 わきゼリフ(つぶやき)
 注釈(コメント)
 同時進行的覚え書
き(総括ノート)
調査データの分析(2)――コーディングとデータベースの構築
 準備作業
 コーディング
  編集作業としてのコーディング/「天下り式コーディング」と「たたき上げ式コーディング」/コーディングによるテーマのあぶり出し/コードの体系化と階層化――オープン・コーディングと焦点をしぼったコーディング
 コーディングのための専用ソフトウェア
  資料のデータベース化/電子化の効用/アイディアツリーという福音
  理論的覚え書き(理論的考察)・統合的覚え書き(総合的考察)・中間報告書
民族誌を読む
 文章修業としての読書
 シカゴ学派の都市民族誌/文章修業としての読書/ルポルタージュ批評課題/翻訳書の効用と限界/
 結論