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(C)新曜社

ダン・スペルベル著/菅野盾樹訳


『表象は感染する』
――文化への自然主義的アプローチ


四六判320頁

定価:本体3600円+税

発売日 01.10.20

ISBN 4-7885-0778-1

◆文化はどうして広まるか

文化はどのようにして進化するか。文化の普遍性と多様性をどう理解するか。文化をなす信念や規範、芸術、習慣などの観念や表象は「感染する」とスペルベルは言います。特定の人に感染する観念もあれば、集団全体を侵す表象もあり、この過程が進行するなかで、人間も、環境も、そして観念や表象自体も変形していきます。文化の動態を理解するとはこのような感染の原因と結果を理解することだ、というのが本書の主張です。大胆な自然科学的思考ですが、その背景には発展著しい認知科学や進化心理学の知見があり、粘り強い思考でありうべき誤解や反論に周到に答えつつ、人文社会科学を真に科学的なものにする道筋を明らかにした力作です。

◆書評
2002年3月、言語

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◆目次
まえがき
序論
第1章 人類学者として真の唯物論者になる方法
人類学と存在論/文化的事象は何からできているのか
第2章 文化的表象を解釈することと説明すること
文化的表象を解釈すること/どのように文化的表象を説明するか
第3章 人類学と心理学――表象の疫学のために
疫学/表象/誤った考え/性向と影響受容性/基礎概念/文化的表象/記憶と口承文藝結論にかえて
第4章 信念の疫学
人類学的考察/心理学的考察/異なる型の信念、異なる分布のメカニズム
第5章 文化の進化における淘汰と誘因
淘汰モデル/誘引モデル/誘引の生態学的・心理学的要因
第6章 心のモジュール性と文化的多様性
思考のモジュール性に反対する二つの常識的な議論/モジュール性と進化/モジュール性と概念の統合/モジュールの現実的領域と固有の領域/文化的領域と表象の疫学/メタ表象能力と文化爆発
結論――リスクと賭け
注/訳者あとがき/参考文献

原題:Explininng Culture :A Naturalistic Approach Dan Sperber 1996


◆本文紹介
ある個人の脳に生まれた観念が、それに類似するいわば子孫を、他人の脳の中に生み出すことがある。観念は伝染することがあるし、ある人物から他の人物へ伝えられることによって、増殖することさえある。ある種の観念―たとえば、宗教的信念、料理のレシピ、あるいは科学的仮設―は効果覿面に増殖し、さまざまなヴァージョンの形をとって、個体群全体に恒久的に浸透するような結果を招くことがある。文化とは何よりもまず、そのような伝染性の観念からできているのだ。文化はまた、人間が作り出したあらゆるもの(たとえば、書かれたもの、手工藝品、道具、その他)から成っていて、それらが人間集団の共有する環境にそなわっていることが、観念の増殖効果を可能にしている。  したがって、文化を説明するということは、特定の観念がなぜ、そしていかにして感染するのかを説明することである。この問いに答えるには、本物の表象の疫学(epidemiology of representation)を発展させる必要がある。


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