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坂田千鶴子著

よみがえる浦島伝説
――女の恋はなぜ消されたか


四六判220頁

定価:本体2000円+税

発売日 01.06.25.

ISBN 4-7885-0771-4

◆風土記から現代までの変遷
 「昔々浦島は〜」の童謡、絵本でおなじみの日本昔話「浦島太郎」。ところがこの物語の起源である『風土記』では、浦島と亀姫(亀は神の娘の変身)の悲恋物語だったと知る人はほとんどいません。なぜ古代ののびやかな女の恋が消されたか、なぜ貴公子「浦島子」が漁師の太郎やぢぢいに成り下がったか。そしてラストシーン「開けてびっくり玉手箱」の真実とは? 万葉集、古事記、日本書紀の浦島伝説から、中世、近世を経て明治の国定教科書、そして現代の「浦島太郎」までの物語の変遷をたどります。フェミニズムならではの切り口が鮮やかな読み物です。短大生の創作した現代版パロディも必見。

◆書評
2001年7月29日、東京新聞、三浦佑之氏評
2001年8月19日、信濃毎日新聞他、小谷真理氏評
2001年8月、出版ニュース8月下旬号
2002年4月28日、公明新聞、坂田千鶴子氏評

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◆目次
まえがき
第1章 浦島太郎の起源
古代の浦島子伝説を読む/美しい恋人たちの世界『丹後国風土記』/愚人の世界『万葉集』/近代の浦島子伝説批評を読む/女の恋はなぜ消されたか/歴史の書き換え
第2章 海幸山幸神話 二つの海の神話の意味
『古事記』と『日本書紀』の海幸山幸神話/家長の登場/閉ざされた国境/律令国家誕生のドラマ
第3章 浦島子伝説の変遷 浦島太郎はいつ登場したか
平安時代の浦島子伝説 『古事談』の『浦島子伝』/浦島太郎の登場『御伽草子』/江戸の浦島絵本と口承文芸 柳亭種彦の『むかしばなし浦島ぢぢい』/明治国定国語教科書の浦島太郎/巌谷小波の『日本昔噺 浦島太郎』 私たちの浦島太郎/森鴎外の『玉篋両浦嶋』 家父長浦島の誕生
第4章 浦島絵本のいま
子どもたちの読む浦島絵本/昭和40年代の浦島絵本/昭和末期から平成の浦島絵本/浦島絵本に映し出される家族の変化
第5章 短大生の浦島子伝説 1995〜2000年の浦島太郎と乙姫
等身大の浦島/二人が別れる理由/いじめと援助/玉手箱の中身/男と女のゆくえ/二つの世界をつなぐもの
引用文献・参考文献
あとがき


◆本文紹介◆
あらゆる日本の伝説のなかで、浦島子伝説はどの時代にも、おそらく最多の異本を生み出してきました。浦島子伝説のあいのかたちは、それぞれの時代に理想とされた女と男のありようを照らし出しています。女の恋の大胆な動きを抑制する力は、父権社会が確立した室町時代に強まります。浦島子伝説の亀の持つ霊性が失われ、仏教思想を背景に、助けられた亀の報恩譚(恩返し)、前世の因縁話が付け加わったのです。(「まえがき」より)


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