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D・キムラ著/野島久雄、三宅真季子、鈴木眞理子訳


女の能力、男の能力
――性差について科学者が答える


四六判312頁

定価:本体2900円+税

発売日 01.06.15.

ISBN 4-7885-0770-6

◆ホルモンと認知の深い仲
 Doreen Kimura,"Sex and Cognition,MIT Press,1999の訳。本書は、男女による認知能力・問題解決能力の違いについて研究している女性科学者による本です。男女にどういう違いがあるかを述べるだけでなく、なぜ研究からそういう結論が引き出されるのか、そこにはどういう生理的、心理学的な働きがあるのか、そもそも、どうして男女の差異について研究する価値があるのかを、具体的な研究を引きながら、偏見に陥ることなく、わかりやすく述べているのが本書の特色です。「話を聞かない男、地図が読めない女」からさらに一歩踏み込んで、男女の心理的な能力の違いに科学者がどう取り組んでいるか、何がわかったのかを知りたい人々のための、格好の入門書です。

◆書評
2002年8月、労働の科学

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cover

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◆目次
日本の読者の方へ
はしがき
第1章 性差を科学的に研究するということ
人類平等主義のイデオロギー/生まれか育ちか/性差についての研究には違う基準が当てはめられる? 
第2章 進化の遺産
第3章 どのようにして男女の違いが生じるのか
第4章 運動スキル
第5章 空間能力
経験の役割
第6章 数学の適性
第7章 知覚
視覚/社会的知覚
第8章 言語能力
言語記憶
第9章 ホルモンのメカニズム
ヒトにおける空間能力の組織化/自然のホルモン変動
第10章 正常な脳で調べた脳のメカニズム
脳の大きさ/視床下部/海馬体/右半球と左半球の接続/半球間の非対称
第11章 損傷を受けた脳で研究した脳のメカニズム
言語流暢性/言語記憶/積み木の空間的見え/線の向き/半球内部での組織化
第12章 体の非対称と認知パターン
第13章 終わりに
テストはどの程度有効か
付録 数値の扱い方
集団間の違い/有意水準/ばらつき/相関/因子分析
訳者あとがき
文献案内
用語解説
索引

◆内容「日本の読者の方へ」
「この本に述べた認知の男女差の研究は、主に西洋社会の白人を対象にしたものです。ですから、欧米以外の文化をもつ国々については、あまり多くの情報が含まれていません。とはいえ、認知上の性差にはおそらく進化にもとづく要因があると思われますし、男女の違いが幼い子どもの頃から現れるということを考えれば、西洋以外の文化においても、同様の結果が得られると思います。実際、私たちの手許にあるデータは、男女の違いがアジア系、アフリカ系、インド系の被験者にも一貫してみられることを示しています。たとえば、それらのどの人種でも、平均としてみれば、男性の方が女性よりある種の空間的な課題の解決に優れ、女性のほうが男性より言語的な記憶に優れているのです。本書でも、空間能力、数学、言語能力の各章で、そうした比較文化的な研究の一端を紹介します」
「本書は主として認知における男女の差異について論じています。しかし、男女の間には興味のあり方にも確かな違いが見られます。平均すると、女性は社会や人間に興味を向けることが多く、男性は物に興味を向けることが多いのです。興味の対象が生物か無生物かの違いといてもよいでしょう。能力にも興味にも安定した性差があるために、男性と女性は職業の選び方も違ってきます。・・・・・・私は本書の翻訳がきっかけとなって、個人による認知パターンの違いがどこに由来しているのかについての比較文化的な研究が進むことを心から望んでいます」


◆訳者あとがき
「本書は、フェミニズムの立場の人にとっては女性の社会進出、女性の権利の拡充に水をかける反動的な書物と見えるかも知れない。また、知能検査を人種差別を根拠づけるための道具とした人がいたように、本書もその一部だけを取り上げれば差別のための根拠とすることも不可能ではないだろう。しかし、キムラの意図もまた、本書を訳した私たちの意図もそこにはない。男と女の違い、個人と個人、そして、私とあなたの違いがどのようにして生まれたのかを明らかにし、個人が個人として尊重される社会を構築していくときの客観的事実にもとづく議論をするための出発点に本書がなることを期待している」


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