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江沢 洋


『理科を歩む』
――歴史に学ぶ


四六判208頁

定価:本体1800円+税

発売日 01.06.30.

ISBN 4-7885-0766-8

◆こんなに理科に燃えた時代があった!◆

この国の理科教育はどんどん貧しくなっている。理科教育が学校の中だけに閉じこめられているのです。その何よりの証拠は科学雑誌の衰退です。ほとんど壊滅状態です。そういう日本にも、かつて理科に燃えた時代がありました。新しい思想を自分たちのものにしようと外国に行って研究し、帰ってくるとそれを雑誌などに発表して社会に広め、何よりも子どもたちに伝えようとする人々がいたのです。本書は、二十世紀の物理学革命に参加し、日本の科学を創り上げた、このような人たちの足跡をたどり直して、これからの理 科=科学教育のあり方を考えようとするものです。同時発売の『理科が危ない』の姉妹編。

◆書評
2001年8月27日 赤旗 小島昌夫氏
2001年9月23日 サンデー毎日 阿武秀子氏
2001年10月号 理科教室 宮村博氏
2001年秋号 I feel
2001年8月26日 読売新聞 山元大輔氏
2002年4月、数理科学、本間均氏評


◆小社姉妹書
江沢 洋著『理科が危ない!』

◆江沢洋氏のおもな著作
『だれが原子をみたか』岩波書店、1980、ISBN:
『物理は自由だT 力学』日本評論社、1992.3、ISBN:4-535-78184-2
『現代物理学』朝倉書店、1996.6、ISBN:4-254-13068-6
ほか多数
訳書
『ファインマンさんベストエッセイ』R.P.ファインマン著/大貫 昌子訳、江沢 洋訳、岩波書店、2001.3
ISBN:4-00-005947-5
ほか

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目次
はじめに
理解の奥行き
T 理科的嗜好
物理学事始/古本のすすめ/中国科学技術館/少年宮、奥林匹克・・・・・・/言葉の意味は雲のごとく/見て聞いたドイツの革命/デモの感動/物理学者と宗教/科学を見る世間の目/漱石と物理

U 科学した人々
人間サイズの物理学/世紀末の伝記ブーム/とらわれない発想/仁科芳雄と開かれた学問/仁科芳雄の切り開いた道/ハイゼンベルグ生誕九十年祭/朝永先生の足跡をたずねて/物理学の五十年

V 理科と文化のあいだ
光の圧力と漱石と寅彦/寺田寅彦の担ったもの・担うもの

人名・書名索引


はじめにより
・・・・・・理科教育が学校の中に閉じ込められている。何よりの証拠は、科学雑誌の衰退である。科学雑誌は、理科の構造や、構造の成り立ちの歴史を横から照射することができる。だから、理科教育が正常に行われていたら科学雑誌の需要も大いにあるはずだと考えられる。ところが日本は科学雑誌に関しては貧乏国である。さきごろ科学雑誌『サイアス』が倒れた。たくさんの教師や科学者・技術者を育てた科学雑誌『自然』は一九八四年五月に倒れたままである。
 明治の先人たちは、理科の雑誌をだし、誌上で論争し、街にでて講演するなど理科を学校の外に出すことに熱心だった。江戸時代の先覚者たちが、いかに外来の新思想をとりこむことに力を尽くしたか。彼らは翻訳をしたが、単なる翻訳者ではなかった。自らも実験すれば、自分の意見を書き加えもしたのである。そこには新知識の普及に力を尽くした人々もいた。ザヴィエルが西欧の科学をもたらしたとき、当時の人々は好奇心に満ちてそれを歓迎し、質問攻めにしたという。こうした積み上げが今日の日本をつくったのだ。われわれは歴史から学ばなければならない。
 理科教育を建て直そう。そして、学校の外でも理科を伸ばそう。・・・・・・


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