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江沢 洋著


理科が危ない
――明日のために


四六判208頁

定価:本体1800円+税

発売日 01.06.30.

ISBN 4-7885-0765-X

◆姉妹書
江沢 洋著『理科を歩む』

◆あなたは理科がきらいですか?
 理科が危ない。この国の科学・技術がほんとうに危ない。物理を選択する高校生がかつての80%台から10%台に激減し、物理を履修しないで理工学部に来る学生も増えており、近々、深刻な科学技術者の不足が予想されます。IT革命どころの話ではないのです。その原因は学習指導要領による統制にあり、「ユトリ」教育、「個性」教育による「選択」が理科をバラバラにし暗記科目にしているというのです。理科を学ぶことは思考を自由にするためであるはずなのに。科学エッセイストとして親しまれている物理学者の理科教育への批判・提言を集成しました。著者は学習院大学理学部教授。

◆書評
2001年10月号 「現代 」池内了氏
2001年8月、ポリマーダイジェスト
2001年8月26日、読売新聞、山元大輔氏評
2001年8月27日、赤旗、小島昌夫氏評
2001年9月23日、サンデー毎日、阿武秀子氏評
2001年10月、理科教室、宮村博氏評
2002年3月、数理科学、渥美茂明氏評

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◆目次
T 科学は自由だ
入学試験を緩和するなら環境整備を/学ぶものの権利章典/個性の現実と異能/WHYと問う力/頭脳明晰につき休講/物理オリンピック/誇りと理科教育/イギリスの科学普及活動/「物理」は「科学」の後だなんて!/フィリッピンに負けるな/人生の半分を生きた小世界

U 理科が危ない
教育の基本が欠落―高校生に/大学と環境・歴史/教育論の七つの誤り
V おもしろい理科の本と雑誌
「おもしろい」って何ですか?/昔の理科の本の話/『ゴム弾性』の項/科学の総合誌を待望する/事始讃-紀元元年の読者から/高校生・中学生にすすめたい本
人名・書名索引


◆はじめにより
「・・・・・・この本は過去十年にわたって書き続けてきた日本の理科教育への批判を集めたものである。指導要領による教育統制は、これまで一つとしてよい結果を生まなかった。教育は教師の手に返さなければいけない。教育は、学校の中で行われるものが大切ではあるが、それに限らない。学校の外で、一人一人が好きな本に熱中し、模型をつくり、あるいは蝶々を集めるといった活動も大切である。こういった学校外の活動のなかでこそ個性や創造性は育つだろう。学校の中で個性といっても限りがある。学校が「個性」の名の下に科目の「選択」を自由にし基礎知識の要求を減らしたのは間違いである。「物理を習わずに工学部に入る」といった現象まで引き起こしたのは、明らかに行き過ぎである。「個性」重視の名の下に高等学校で低学年から理科と文科を分けるのも行き過ぎである。
学校は万人に共通な基本をしっかりおさえる。個性を伸ばすのは学校の外でよい。課外活動でもよい。しかし、共通なというのが難しい。教育は直接法ではうまくいかない場合が多いからである。Aを教えるのにBを教材に使う、ということをする。Bは将来使わないから習わなくてもよい、というわけにはいかない。そのBを消化してAとして身につける、あるいはA’として身につけるのは個人の営みである。消化には長い時間がかかる。
・・・・・・勉強は基本的には自分でするものだ。この基本が崩れて、「勉強するとは教わることだ」と子どもたちが思いこんでいる節がある。昔は受験勉強は一人でした。いまは塾に行く。先生に質問するのは一見よいようだが「少し考えてから訊ねるものだ」と言いたくなる場合が多い。
・・・・・・中学生や高校生たちを責めるわけにはいかない。彼らを勉強に向かわせるような環境が日本に用意されているか? 環境の整備を商業主義だけにまかせておいてよいのか? ・・・・・・」


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