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R・M・ネシー、G・C・ウィリアムズ著/長谷川眞理子、長谷川寿一、青木千里訳


病気はなぜ、あるのか
――進化医学による新しい理解


四六判436頁

定価:本体4200円+税

発売日 01.4.15

ISBN 4-7885-0759-5

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◆「2冊買って1冊は主治医に!」ドーキンス
 数百万年にわたって適者生存の進化を遂げてきたはずの人間が、なぜ簡単に病気にかかってしまうのか? 医学の進歩によって個々の病気の原因についてはかなり分かってきましたが、そもそもなぜ病気や老化があるのか、という根本問題はよく分かっていませんでした。解明の鍵は、病気と老化の進化的な原因を探究するなかにある−−二人の高名な進化学者によるこの本は、「人はどうして病気になるのか」についての最新の考え方と発見を、身近な病気や身体現象のトピックをとおして一般の読者に分かりやすく説いています。知的な興奮を味わいつつ病気と上手につきあうために!

◆書評
2001年4月21日、出版ダイジェスト、氏評
2001年5月27日、日本経済新聞、日高敏隆氏評
2001年7月、日経サイエンス、森山和道氏評
2001年7月1日、朝日新聞、新妻昭夫氏評
2001年12月30日、朝日新聞、新妻昭夫氏評

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◆目次
謝辞
まえがき
第1章 病気の神秘
二種類の原因/病気の原因/本書で述べていないこと
第2章 自然淘汰による進化
自然淘汰は集団ではなく遺伝子に有利に働く/血縁淘汰
自然淘汰はどのように働くか/進化的仮説の検証/適応論的アプローチ
第3章 感染症の徴候と症状
感染に対する防御としての発熱/鉄分の抑制/戦略と対抗戦略
衛生/皮膚/疼痛と倦怠感/強制排出にもとづく防御
侵入者を攻撃するメカニズム/損傷と修復
病原体による宿主の防御のくぐり抜け/宿主の防御への攻撃/病原体がもっているその他の適応/病気への機能的なアプローチ
第4章 終わりなき軍拡競争
過去の進化対現在の進化/抗生物質への細菌の抵抗性/毒性の短期的な進化/免疫反応の利益と損失/ますます複雑になる偽装/新しい環境要因
第5章 ケガ
ケガの回避/一般化された学習と理解/ケガの修復/やけどと凍傷/放射線/からだの部分の再生
第6章 毒素――新、旧、いたるところ
自然の毒素と自然でない毒素/自然の毒素に対する防御/新種の毒素/突然変異原と催奇物質
第7章 遺伝子と病気――欠陥、変わり者、妥協
遺伝子がすること/病気の原因となるまれな遺伝子/病気の原因となる一般的な遺伝子/無法者遺伝子/遺伝的気まぐれ――近視その他たくさん/遺伝子を怖がるな
第8章 若さの泉としての老化
加齢の神秘/老化とは何か/一頭立ての馬車/なぜ年をとるのか/老化のメカニズム/老化の速度における性差/医学的な意味合い
第9章 進化史の遺産
他の機能的な設計の不備/最後の仕上げ/石器時代における死/石器時代の生活
第10章 文明化がもたらした病気
現代の食生活の不適切さ/現代の栄養の取り過ぎ/中毒/現代の環境に由来する発達上の問題/現代の環境に由来するその他の病気/結論といくつか奨励したいこと
第11章 アレルギー
IgEシステムの不思議/アトピー/もっともやっかいな疑問
第12章 癌
問題/解決/癌の予防と治療/女性の生殖器系の癌
第13章 性と繁殖
なぜ性があるのか?/男性性と女性性の本質/雄と雌のあいだの葛藤と協力/配偶者の好み/欺瞞的な配偶戦略/繁殖の解剖学と生理学/嫉妬/性的障害/妊娠/出産/幼児期/泣きと疝痛{せんつう}/乳幼児突然死症候群(SIDS)/離乳とその後
第14章 精神障害は病気か?
感情/不安/新しい危険/悲しみとうつ病/愛着の欠如/子どもの虐待/精神分裂病/睡眠障害/夢を見ること/精神医学の未来
第15章 医学の進化
病気の原因に関する総論/研究/なぜこんなに長くかかったのか?/医学教育/診療においてもつ意味/政策上の意味合い/個人的および哲学的な意味合い
訳者あとがき/索引


◆本文紹介◆
私たちのからだはこんなにもうまくできた構造をしているにもかかわらず。なぜ、病気にかかりやすくさせるような欠陥やもろさを無数に抱えているのだろうか。…個人としての人間が、なぜ特定の病気にかかるのかについては、ますます多くのことがわかってきているが、いったいなぜそもそも病気というものが存在するのかについては、未だにほとんどわかっていない。

訳者あとがきより
「・・・・・・進化的アプローチは、普遍的な枠組みから膨大な医学的知識を再整理したり再統合したりするだけではなく、未知の現象の発見を促したり、新しい研究プログラムの出発点を与えたりする点でも医学に貢献するだろう。本書中、随所に触れられているように、ダーウィン医学は従来の医学研究者がほとんど関心を払ってこなかった側面にも光を当てる。現代の医学研究では、難病対策には巨額の予算が投じられるにも関わらず、もっとずっと一般的な病気(たとえばインフルエンザや妊産婦の疾病など)の基礎研究はほとんど予算が付かないという話をよく聞く。しかし、これらの病気の基礎研究は決してやり尽くされてしまったわけではなく、斬新な仮説やパラダイムが求められているのである。進化的視点は、その意味で基礎医学研究に新風をもたらしてくれるはずであり、実際、海外ではダーウィン医学の立場からの研究書の出版が近年相次いでいる。
 ダーウィン医学の視点は医学者のみならず(むしろ医者以上に)、患者にとっても有益であろう。なぜ病気になるのかについて最も鋭敏なのが患者自身だからである。もちろん患者は医者から専門的な診断を個別に受けるが、なぜ発熱するのか、なぜ癌のように理不尽な病気がそもそもあるのかなど、より根源的なことについてまで医者から説明を受けるわけではない。患者(に限らず病気に関心のあるすべての人)が、ダーウィン医学を通じて病気に対する基本的な見方が変われば、症状が直接軽くわけではないにせよ、病気に対する理解が深まり、病気ときちんと向き合えるようになるだろう」


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