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リチャード・グレゴリー著/鳥居修晃、鹿取廣人、望月登志子、鈴木光太郎訳

『鏡という謎』
――その神話・芸術・科学


A5判424頁

定価:本体4500円+税

発売日 01.3.15

ISBN 4-7885-0754-4

◆著者
イギリスの知覚心理学分野における第一人者。現在、ブリストル大学神経心理学の名誉教授。イギリス初の体験型科学センター・エクスプロラトリの創設者。王立協会会員であり、CBE(大英勲章)をうけている。

◆著書
『見るしくみ』(船原芳範訳、平凡社、1970、品切)
『インテリジェント・アイ』(金子隆芳訳、みすず書房、1972、品切)
「視覚の知」『知のしくみ その多様性とダイナミズム』(小社刊)所収
J・カルファ編、今井邦彦訳、1997.8
四六判308頁・本体価格 \2,800 ISBN:4-7885-0604-1

◆人はなぜ鏡に魅せられてきたのか
 イギリス心理学界の大御所グレゴリーが、深い学殖と思索を傾けて書いた『鏡学大全』です。鏡は端的な光学的現象でありながら、幻影のなかに現実を、現実のなかに幻影をもちこんで、見るものを混乱させます。そこから、鏡は人間にとって畏怖と好奇の対象となり、認識の手段であるとともに幻想や想像力の泉ともなって、豊かな神話や伝承、美術、文学を生み出し、科学的研究を刺激してきました。本書は、鏡と鏡をめぐって繰り広げられてきたこれら人間精神の活動の系譜を精力的に探訪して、鏡にはなぜこのような魔力があるのか、その謎は人間の心という謎をどのように映し出しているのか、という興味ある問いを解明してゆきます。カラー・モノクロ図版多数。

◆書評
2001年4月28日、福島民報、谷川渥氏評
2001年5月11日、新美術新聞、倉林靖氏評
「日経サイエンス」2001年7月号 北田正弘氏評
2003年 Spring、Book Club Kai News Letter vol051

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◆目次
謝辞/まえがき
1 鏡のなかの自分
  心を読む/自己/鏡療法/失明と開眼
2 芸術のなかの鏡
  鏡の美術小史/遠近を映す/絵画に鏡を利用する/遠近法の錯視/映画と文学に登場する鏡
3 鏡の歴史と神秘
  鏡小史――さまざまな時代、さまざまな地域/水晶占い/鏡のなかの幻影はどう説明されるか?/
4 鏡映像の謎
  多重反射/合わせ鏡の不思議/鏡で全身を見る方法/鏡のなかの像はどうして左右が反転するのか?/対称性を操作する/二次元の世界
5 物質と光
  なぜ光は反射するか?/波としての光/物質のなかの光/光の干渉/光、磁気、電気/偏光/色/最悪の鏡から生まれた新しい物理学/QED(量子電磁力学)
6 鏡の作り方・使い方
  鏡を作る/機器のなかの鏡/記憶の鏡――写真/液晶ディスプレイ/眼のなかを見る/鏡を用いた錯覚/自然界の鏡
7 右利き・左利き
  文字の左右の違い/上下逆転/左利き/自然界における左と右/力の左右性
8 あざむくのは鏡か知覚か
  視覚の多義性/仮説としての知覚/眼識と我識/ゆがみ/錯覚を分類する/視覚はどのようにはたらくか?/思考の錯覚
9 鏡の国を探検する
  アリス/鏡を振り返る/遊び/科学と遊ぶ/鏡で遊ぶ/ヴァーチャル・リアリティ
10 最後に振り返って
  量子的実在/心的モデル/科学は不自然か?/知性を機械に/知性/意識
注/訳者あとがき/文献一覧/索引


◆本文紹介◆
鏡を用いなければ自分の顔を見ることができないとうのは、生物界の奇妙な気まぐれとしか言いようがない。なぜかというと、秘密の心の内をもらしてしまうのは、なんといっても顔の表情なのだから。ここでひとつの謎は、赤ん坊はどうやってほかの人間の表情を自分の感情と結びつけるのか、ということだ。
つまり、赤ん坊だって、鏡を使わないかぎり、自分の顔を見ることなどできないではないか。どうやって、ほかの人間の微笑やらしかめ面やらを、自分の喜びや痛みに引きつけるようになるのだろう? リオンティーズが『冬物語』のなかで言っているように、どうやって自分を他の人々と関係づけ、彼等を自分に関係づけるのか、鏡に向かうときにいろいろと「笑いを作って」みて、発見するのだろうか? 鏡に映る像が、心と心の懸け橋の役目を果たすのだろうか。(「まえがき」より)


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