アフォーダンスの心理学

生態心理学への道

ミミズの穴ほりから人間の言語・思考まで,心理学的なるものを有機体が世界と切り結ぶプロセス(アフォーダンス)に働く機能としてとらえ,それを生態と進化の視点から体系的に提示して話題を集めた気鋭の代表作。才気に富んだ囲み記事も楽しい。

◆書評
2000年12月24日、毎日新聞
2001年1月7日、毎日新聞
2006年2月、デザインの現場
◆目次
はじめに 〈サイコロジカルなこと〉への地平
心理学の終わらない危機/〈サイコロジカルなこと〉の位置を見定める/生態学的な見方/本書の目的

第1章 調整 vs 構成
機械と有機体/〈構成〉という隠喩/〈調整〉という隠喩/むすび

第2章 進化心理学
心理学者、チャールズ・ダーウィン/ミミズ アフォーダンスによる行動調整の実例/心理学への教訓
調整された行為には意識がある/アフォーダンスは有機体とは独立に存在する/むすび

第3章 アフォーダンス:心理学のための新しい生態学/環境要因としての行動/行動単位から行動作用へ/
アフォーダンス:行動調整の根底にある持続/アフォーダンスの抽象的分析と具体的分析/相似:アフォーダンスの存在の証拠/クモとネコ:行動の相近のケーススタディ/むすび

第4章 情報の重要性
進化上の結果と行動作用/コントラストのパターンが情報になる/情報と切り結び/意識と情報/表面と物質/表面と物質を特定する情報/情報のピックアップ:サイコロジカルな過程の新しい概念/情報ピックアップの進化/むすび

第5章 機能系と行動のメカニズム
神経的調整の進化生態学/神経生理学のベースにある不適当な心理学/行動の基礎にあるメカニズムを進化的に見る/機能特定的な神経のメカニズム/選択主義と神経系/行為制御の特定性/2種類の行為:探索的/遂行的/むすび

第6章 多用な行為システム群
機能系の進化的分化/基礎定位/行為システム群の進化/いくつかの重要な行為システム群/行為を調整過程として研究する/むすび

第7章 価値と意味を求める努力
自然史としての心理学/〈行動〉の新しい考え方/〈意識〉の新しい定義/〈心理学〉の新しい定義/意味と価値はエコロジカルな事実である/価値を求める努力/感情を求める努力/意味を求める努力/はじめての意味/意味と価値を求めるヒトの集団的努力/むすび

第8章 ヒトの環境
価値と意味か? 原因と結果か? /ヒトの環境/現生人類の環境/ヒトが構築した環境/ヒトの環境の基本アフォーダンス群/日常の課題の進化/むすび

第9章 人間になる
ヒトの乳児を包囲する群棲環境/相互行為フレーム内で発達する行為システム群/フレームの分化/三項的な相互行為/むすび

第10章 心の日常生活
アフォーダンスの集団的獲得としての〈認識〉/日常生活の構造/〈技能〉から〈ルーティン〉へ/「促進行為場」と「認識のブートストラッピング」/むすび

第11章 言語環境に入る
言語発達の2つの段階/生態学的視点から見た言語/指し言語:基礎的なコミュニケーション・フレーム/
「指し」から「語り」へ/「語り」への移行/生成言語/むすび

第12章 思考の流れ
生態学的視点から見た〈認識〉/思考と情報/予期的意識/予期的意識から思考へ/知覚学習と探索の流れ/〈充たされざる意味〉をつうじた知の道具の獲得/内化? それとも、「自由行為場」での認識?/文化と表象体系/むすび

おわりに 生態心理学の地平へ
意味に充ちた科学的心理学/人間の自然/選択主義/生態心理学の自然/むすび
解説 エドワード・リードの仕事 佐々木正人
追悼 エドワード・リード ウィリアム・メース

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