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第20回梓会出版文化賞本賞受賞

◆本賞受賞のあいさつ(平成17年1月20日 赤坂プリンスホテル別館ロイヤルホールにて)

株式会社 新曜社 社長 堀江洪

新曜社の堀江でございます。このたびは出版梓会の出版文化賞を第20回というたいへん記念すべき年に受賞させていただくことができ、本当にありがたく、そして名誉なことと思っております。選考委員の先生方、そして梓会会員社の皆様方に心から厚く御礼を申し上げます。

年が明けて私どもは創業36周年を迎えました。決して短くはない歳月ですが、歩みは牛のごとくと申しますか、なりは極めて小さいので蝸牛のごとくと申すべきでしょうか。顧みて悔いも多く残る歳月でありましたが、幸い多くの著者、読者、そして業界関係者の皆様方のお力でこんにちがありますことを大変うれしく存じております。

私どもについては申すまでもありませんが、出版全体も極めて小さな産業です。日々読書を友とする層は、あるいは人口の数パーセントかもしれません。そして梓会の平均的な会員社の読者は、あるいは0.1パーセントに満たないような数字かもしれない。テレビの視聴率などとは比べるのも愚かという数字であるかと思いますが、しかし、この小さな産業が社会のなかにに持っている、あるいは文化のなかに持っている存在感はきわめて大きい、あえて言うなら圧倒的な存在感を持っていると言ってもいいのではないかと思います。

出版という仕事は、あらためて申すまでもなく、人間の精神のすべてを本というモノの形に表す仕事であります。そしてこのモノは物であって、単なる物ではありません。そこには人間の精神、知であるとか、あるいは意志であるとか、あるいは感情というものが生き生きと息づいている、一個の生命体である。身体であると思います。そしてこの身体と私たちは、例えば書斎の中で厳かな対話を重ねることもできるし、野山に連れて行くこともできる。映画に連れて行くこともできれば、スキーに連れて行くこともできる。そしてベッドに伴えば安らかな眠りにも誘ってくれるという存在です。『〈民主〉と〈愛国〉』はあまりに太りすぎている、重すぎるという声もありますが、愛と情熱があればそんなことは問題ではない。(笑)


本とはとにかくそういう存在であり、これはほかにかけがいのない伴侶であるいう意味で、圧倒的な存在感を持っていると申し上げるゆえんです。そうしてこの伴侶は、過去数千年にわたる長い時間のなかで、時代を超え、国境を越えて「読書の共同体」という大きな生命体、地球大の共同体という巨人の肩に乗って、あるいはこの巨人の血脈をひいて活動することによって、日々この巨人を活性化させているのであると思います。

試行錯誤を重ねながら、こういう面白くて意義のある仕事の末端に携わることができたことは新曜社の幸運です。私自身は余命がもうそれほどありませんが、ここにお集まりの、特に若い方々にはぜひ出版という仕事に大きな誇りと自信をもって力を注いでいっていただければ大変うれしく存じます。

せっかくの機会ですから、ここから多少新曜社の宣伝をさせていただこうかと思いましたが、先に植田先生から過分な言葉をいただきましたし、時間も尽きたようでございますので、以上をもちましてわたくしの受賞のごあいさつとお礼とさせていただきたいと思います。本日は、どうもありがとうございました

出版、わが天職書影

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